トイレは頭数プラス1、多頭飼いの爪とぎは何本必要か

目次
  1. 並べた時点で、それは1か所になる
  2. 島を数える
  3. 大きさと出口
  4. 爪とぎは本数より通り道
  5. 縦と横は別の道具
  6. 食べる場所と出す場所
  7. 待つ、見張る、譲る
  8. それでも部屋が足りないとき
  9. 見直すタイミング

多頭飼いのトイレは頭数プラス1、爪とぎは1匹につき1か所が目安になる。ただしこの数字が効くのは、置き場所が分かれているときだけだ。同じ部屋にまとめて並べたトイレは、猫の側では1か所と数えられている。数だけ揃えて、用を足せる場所は増えていない。多頭飼いのつまずきは、たいていここで起きている。

朝6時、台所で湯を沸かしながらリビングを見渡す。窓際にトイレが3つ、隙間なく一列に並んでいる。2匹だから3つ。ガイドラインどおりの数だ。それでも手前の箱の前で、若いほうの子が尻を床について待っている。奥の箱では先住の大きいほうが、こちらを横目で見ながらゆっくり砂を掘っている。待つあいだ、若いほうは前脚を何度も上げ下げしている。私はカップを置いて、並んだ箱を端から順に見た。同じ壁、同じ高さ、同じ砂。猫の側から見れば、これは3つではない。

並べた時点で、それは1か所になる

猫は部屋の数を数えていない。数えているのは、見通しの効く角と、逃げ込める先の数だ。同じ壁に沿って並んだ箱は、視線も出口も同じになる。だから3つ置いても、使える場所は1つ。先住の猫がそこに立てば、若いほうは近づけない。箱が3つあるのに待ち時間が消えないのは、こういうことだ。

数を増やす前に、私はまず1つを動かす。リビングの窓際から、寝室のベッドの影へ。廊下に面した壁から、テレビの反対側へ。箱そのものは何も変えていない。それでも猫の使う順番が変わる。動かした日の夜には、どちらがどこを使うかがだいたい決まる。

島を数える

間取りを見るとき、私は部屋の数ではなく「島」を数える。リビングのテレビ脇、廊下の突き当たり、寝室のベッドの横、玄関を上がってすぐの壁際。家具で視線が切れていれば、同じ部屋でも別の島になる。逆に、仕切りのないワンルームで3か所に置いても、全部が1つの島に見えることがある。

だから家の中で、トイレの数と島の数を並べてみる。島のほうが少なければ、箱を増やしても効かない。島のほうが多ければ、今の数で足りていることが多い。順番はいつもこれで、足りないのは箱ではなく島のほうだ。

大きさと出口

箱は、家で一番大きい猫が向きを変えられる大きさが要る。小さい箱に体を折りたたんで入っているのを見ると、こちらが窮屈になる。そして出口がひとつしかない箱は、力関係がはっきりしている家ほど使われなくなる。ふた付きの箱を置いていた時期がある。ふたを外しただけで、使う時間帯が変わった。前を通る猫の視線が遮られなくなったからだと思う。確かめたわけではないが、あの頃いちばん変わったのは確かにそこだった。

爪とぎは本数より通り道

爪とぎは1匹1か所が最低線で、私は実際にはそれより多く置いている。理由は単純で、猫は寝起きに爪を研ぐからだ。寝室の出入り口、ソファの肘、リビングを横切る動線。寝ていた場所から2、3歩で爪が研げるかどうかで、使われるかどうかが決まる。リビングの隅にまとめて3本立てても、そこまで歩く習慣がなければ研がれない。そして研がれない爪は、別の場所に向かう。

縦と横は別の道具

床に置いて体重をかけて引くタイプと、柱に立ち上がって上へ伸ばすタイプは、同じ爪とぎでも使い方が違う。両方あると猫が選べる。柱を選ぶなら、一番大きい猫が爪先まで伸ばして届く高さが要る。中途半端に短いと、腰を落とした姿勢で引くことになり、そのうち別の場所を探し始める。ぐらつく柱も同じで、一度揺れたら二度目はない。

食べる場所と出す場所

トイレと食器は離す。隣り合っていると、食べる場所と出す場所が同じ島になる。水飲み場も同じで、私は給水器をトイレからいちばん遠い壁に寄せた。掃除の回数は頭数で上がる。2匹なら朝、帰宅時、寝る前の3回。1匹のときの習慣のままだと、どこかの箱が使われなくなる。

待つ、見張る、譲る

猫がトイレの前で座って待つ。入る前に何度も中を確認する。片方が近づくと、何もしていなくても離れる。これらは全部、資源をめぐる緊張の表れだと私は読んでいる。体の話はここでは置いておいて、まず数と配置を疑う。島をひとつ増やす、箱の向きを変える、ふたを外す。それで待ち時間が消えるなら、原因はそこにあったということだ。

それでも部屋が足りないとき

集合住宅だと、島にできる場所が足りないことがある。廊下の突き当たりは一番置きたくなるが、実はいちばん危ない。逃げ場のない行き止まりで、通りかかる猫と鉢合わせする。そこしかないなら、ラックや仕切りで視線を切り、通り抜けられる向きに箱を置く。逆に囲い込みすぎてもだめで、完全に隠れた箱は中で追い詰められる。隠すのは入口の正面だけでいい。

見直すタイミング

引っ越したとき、子猫を迎えたとき、家族が増えたとき、大型の家具を動かしたとき。島の配置は、部屋の配置が変わるたびに崩れる。うちでは子猫が来た月に、先住の猫が使っていたトイレがひとつ使われなくなった。箱は増やしてあった。増えたぶん、全部が同じ島にあっただけだった。

数は最後に合わせる。まず家具を動かして、島を作る。朝の待ち時間が消えたら、その配置がその家の正解だ。頭数プラス1も、1匹1か所も、そこから効いてくる。

猫の爪痕

執筆者について

猫の爪痕

猫と暮らす年月が長くなり、爪とぎの跡や換毛期の抜け毛が部屋の景色に溶け込んでしまった人たちです。多頭飼い、引っ越し、シニア猫との暮らしをそれぞれに経験しながら、猫種ごとの性格や手入れの重さを日々の暮らしの中で見てきました。

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