梅雨と真夏、猫の運動量が落ちる日の遊び方

目次
  1. 動かない時間帯に誘わない
  2. 梅雨は、回数を分ける
  3. 冬は距離が縮む、と決めておく
  4. 季節の落ち込みと、そうでないものを分ける

梅雨や真夏に猫の運動量が落ちるのは、その時期に必ず起きる前提の変動であって、猫が怠けたわけでも、遊びをやめる理由でもない。やることは一つで、遊ぶ時間帯を猫が動ける時間に移し、遊ぶ前に部屋の空気を先に整えておく。暑い盛りに誘って走らせるより、涼しくなってから短く濃く遊ぶほうが、一日に動く総量はたいてい増える。落ち込んだ分を埋め合わせようとせず、季節ごとに遊びの時刻と長さを組み替える。それだけで夏も冬も越えられる。

梅雨と真夏、猫の運動量が落ちる日の遊び方

7月の終わりの夜8時。私はリビングの床に座って、猫のほうを見ていた。フローリングに腹をべったりつけて、前足を前に投げ出している。鈴のついた竿を揺らす。耳だけがこちらを向き、しっぽの先が一度動いて、それで終わり。触ると床がまだぬるい。昼の熱が残っている。窓は開けているが、入ってくるのは生ぬるい空気で、座っているこちらも膝の裏がじっとりしてくる。

同じ猫が、その日の10時40分には別の生き物だった。窓から夜の風が入りはじめたころ、床に置きっぱなしだった竿に自分から突進してくる。ソファの背を越えて、廊下まで走って、戻ってきて、また跳ぶ。10分もたない。5分で息が上がって、座り込む。それでも、8時から9時まで粘って取れなかった動きが、この5分で全部出た。

この順番を覚えてから、夏の遊びは「涼しくなってから、短く」に固定した。夜8時に何も起きなくても、もう焦らない。起きないのが普通で、起きる時間はもっと後ろにある。

動かない時間帯に誘わない

猫は寒さには比較的強くて、苦手なのは高温と湿度のほうだ、というのが、うちの猫を見ていて一番しっくりくる。だから夏は、活動の時間が朝と夜の涼しい側に寄る。人間の生活のほうを動かせるなら、朝は起きてすぐ、夜は寝る前、という二回に分けると噛み合いやすい。

厄介なのは、暑さで眠りが浅くなっているぶん、昼に長く寝て、夜中のテンションが上がることだ。遊ぶ側が先に寝てしまって、猫だけが起きている、という形になりやすい。そこで、遊ぶ時刻そのものを少しずつ後ろにずらしていく。9時、9時半、10時。ずらした分は、こちらの睡眠から引く。これはもう、夏の数か月だけの割り切りだと思っている。

梅雨は、回数を分ける

6月は雨の日が一週間続くことがある。この時期に目立つのは、昼間の動きが減ることだ。うちの場合、朝に一度ちょっと遊んで、あとは夕方まで寝ていることが多い。

最初の年は、これを「運動不足」として受け取ってしまい、昼間に無理に誘っていた。結果は良くなかった。誘っても乗ってこないので、こちらが竿を動かし続けるだけの時間になる。猫はつまらなそうに顔を背け、私のほうが疲れる。翌日には、竿を見ただけで寝室へ行くようになった。

今は梅雨の時期は、一回あたりを短くして、回数を分けるようにしている。朝5分、夕方5分、寝る前10分。合計は大差ないが、猫が「今は遊ぶ時間ではない」と感じる場面が減った。雨の日は、猫の側にも動ける瞬間が細かく散らばっているだけで、一日中やる気がないわけではない。

遊ぶ前に整えるのは、部屋のほう

夏も梅雨も、遊ぶ前にやることは決まっている。部屋を先に冷ましておく、あるいは風を通しておく。それから竿を出す。順番を逆にして、暑い部屋で誘いながら涼しくなるのを待つと、たいてい誰も得をしない。

同じことは冬にも言える。冬は猫が暖かい場所に居着いて、動く範囲が畳一畳ぶんくらいに固まる。部屋じゅうを走り回る距離は、最初から期待しないほうがいい。その代わり、その狭い範囲の中で跳ねる、掴む、転がる遊びに切り替えると、短い時間でも満足度は高い。

低温のほうが得意とはいっても、動く量そのものは冬に落ちる。暖かい場所から動かない日が続くのは、うちでは毎年同じだ。

冬は距離が縮む、と決めておく

冬に走らせようとすると、うまくいかない。猫は暖かい場所と、そこから一歩ぶんの距離しか使わない。だから冬の遊びは、こちらが近くまで行って、狭い範囲で完結させる。廊下まで走る遊びは、春まで待てばいい。その代わり、回数は増やせる。暖かい部屋で5分を3回。夏に走っていた距離は出ないが、動く頻度は維持できる。

これは運動量を元に戻すという発想ではない。冬は冬の形に縮める、というだけの話だ。縮んだ状態で数か月やり過ごして、暖かくなったら自然に戻る。実際、3月の声を聞いたあたりから、うちの猫は自分から廊下に出るようになる。

季節の落ち込みと、そうでないものを分ける

ここまで書いてきた調整は、あくまで「その季節のあいだだけ落ちる」という前提の上に成り立っている。梅雨が明けても動きが戻らない、季節が変わっても同じ場所に居続ける、という場合は、この記事で扱っている話の範囲の外だと思っている。うちでは、季節ごとの波は2~3週間で馴染んでくる。馴染んでこないときは、遊び方の問題ではない可能性を考えたほうがいい。

もう一つ、これは何度も失敗してきたことだが、落ち込んだ日を埋め合わせようとしないことだ。昨日動かなかったから今日は長めに、と考えると、たいてい翌日に響く。週で見て、動いた日の合計が同じくらいなら、それでいい。一日単位で平らにしようとすると、猫のほうが逃げる。

夏の夜10時、竿を置いて、座り込んで息をしている猫の横で、私も床に座る。まだ床は少し温かい。それでも、さっきまでとは別の猫がそこにいる。季節ごとに、この時間が前後にずれていくだけのことだと思っている。

猫の爪痕

執筆者について

猫の爪痕

猫と暮らす年月が長くなり、爪とぎの跡や換毛期の抜け毛が部屋の景色に溶け込んでしまった人たちです。多頭飼い、引っ越し、シニア猫との暮らしをそれぞれに経験しながら、猫種ごとの性格や手入れの重さを日々の暮らしの中で見てきました。

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