ジャパニーズボブテイルとクリリアンボブテイルは登録団体にどう区別されるか

目次
  1. 在来集団に規格を当てる、という手順
  2. 名簿は団体ごとに別々に作られる
  3. 長毛は「同じ品種の別部門」か「別の品種」か
  4. 尾の条文と毛色の条文
  5. 書類が語らないこと

ジャパニーズボブテイルとクリリアンボブテイルは、登録団体の名簿では「短尾の猫」という一つの括りではなく、出自の異なる二つの品種として並ぶ。ジャパニーズボブテイルは、日本に何世紀も前から暮らしてきた短尾の在来集団(ランドレース)に、後から規格を書き付けたものだ。クリリアンボブテイルは、クリル諸島の猫を出発点として、ヨーロッパの登録団体が繁殖プログラムとして組み上げた品種である。この違いは、尾の長さや毛色の条文より前に、血統書の「起源」欄に何を書けるかという形で現れる。そして登録は団体ごとに独立しているので、同じ短尾の猫が片方の名簿には載り、もう片方には項目自体がない、ということが普通に起きる。

ジャパニーズボブテイルとクリリアンボブテイルは登録団体にどう区別されるか

私は数年前、地方クラブのショーで、受付が配るエントリー一覧を眺めていた。B5の紙がクリップで留めてあって、品種ごとに略号が並び、長毛の部門は独立した行になっている。会場は体育館で、扇風機の音と、リングのベルがときどき混ざる。審査台では審査員が猫の尾に指を当て、折れの位置を確かめていた。隣にいた知り合いが、自分の猫と隣のケージの猫を見比べて「尾は同じくらい短いのに、名簿の名前がまるで違う」と言う。その日、私は初めてこの二つを、見た目ではなく書類の側から見た。

在来集団に規格を当てる、という手順

日本猫の側から書くと、順番はこうだ。まず、短尾の猫が日本に昔からいる。江戸時代の絵にも、招き猫にも、三毛の短尾は普通に出てくる。この集団には、最初のブリーダーも、最初のカテリーも、特定のファウンダーもいない。原産地として書けるのは「日本」という土地の名前で、その先は遡れない。登録団体がしたのは、すでにそこにいた猫たちの中から「この形質をこの品種とする」と選び出し、規格という文章を書き付ける作業であって、ゼロから作る作業ではない。書類の上では、来歴の最初の行が「土地」になる。

クリリアンボブテイルは順番が逆になる。クリル諸島、国後島や択捉島を含む島々にいた短尾の猫がロシア本土に渡り、そこからヨーロッパの団体で、繁殖プログラムとして組み上げられていった。私が手元で確かめた限りでは、1990年代に欧州の団体が受け入れた、という流れで説明されている。こちらはファウンダーが個体として数えられ、血統が世代を遡れる。来歴の最初の行に、猫が並ぶ。

この差は優劣ではない。書き込める情報の種類が違うだけだ。ランドレースは「いつ、誰が」を書けない代わりに、その土地の猫と同じ集団として連続している。標準化された品種は個体を遡れる代わりに、出発点になった猫の数が、そのまま系統の幅の上限になる。ここで一つ断っておくと、私はこれを健康の話として読んでいない。系統の広がり方と、その猫が丈夫かどうかは別の層の話で、書類から読み取れるものではない。名簿や血統書は、あくまで来歴と外見の規格を記録したものだ。

名簿は団体ごとに別々に作られる

世界には複数の登録団体があり、米国のCFAやTICA、欧州のFIFeやWCFのように、それぞれが独自に規格と名簿を持っている。「登録されている品種かどうか」という問いが、実はあまり品種そのものの話をしていない、というのはこの分野の面白いところだ。登録は団体ごとに独立していて、ある団体が規格を採択した年と、別の団体が採択した年は違う。ジャパニーズボブテイルは主要な団体の多くで名簿に載っているが、クリリアンボブテイルは欧州の団体で先行して受け入れられ、私が確認した範囲では、名簿に項目自体が見当たらない団体もある。

なので、同じ猫が、団体を移ると品種名の扱いを変えることになる。「この猫は登録されていますか」と聞かれたら、私はまず「どの団体の」と聞き返す。規格書は公開されていて、たいていPDFで、版と年号が入っている。掲示板の書き込みより、そのPDFの一行のほうが強い。

長毛は「同じ品種の別部門」か「別の品種」か

ここにも名簿の作り方の違いが出る。ジャパニーズボブテイルは、長毛も同じ品種の中の毛長のバリエーションとして扱われることが多い。一方、クリリアンボブテイルは、短毛種とセミロング種を別々の品種として登録する団体がある。つまり、同じ二匹を数えるときに、団体によって「一つの品種」だったり「二つの品種」だったりする。エントリー一覧の行数が違ってくるのは、このためだ。

尾の条文と毛色の条文

どちらの短尾も自然に生じたもので、人為的に切ったものではない。そこは共通している。ただし、規格書に書かれる尾の記述は同じではない。日本猫の尾は、短く蛇行していて、毛が扇状に生えてポンポンのように見える、という書き方がされる。クリリアンの尾は、太くがっしりして折れが入り、長さの幅も広い。リングで審査員が尾に手を当てるのは、折れの数と入り方を確かめているからで、見た目より触感の項目だ。

毛色も、規格の条文に列挙される。日本猫は三毛が文化的な象徴として先に立つが、規格としては認める毛色の幅が広く、ポイントを除外する、といった書き方がされることが多い。クリリアンの列挙はまた別に書かれる。大事なのは列挙の中身そのものより、列挙から外れた毛色が、その団体のショーでは評価の対象にならないという仕組みのほうだ。同じ「白の多い猫」でも、名前と扱いが変わる。

書類が語らないこと

ここが、私がこの二つを並べて見るときに、一番置いておきたいところだ。書類が記録しているのは、来歴と、規格に書かれた外見の項目だけである。登録があることは、その猫が健康であることの証明ではないし、登録がないことは、その猫の由来が薄いことでもない。日本の短尾の猫はもともと土地の猫で、名簿の外にも同じ集団がいる。血統書が何世代も遡れることは、裏を返せば、出発点になった猫の数が限られていたということでもある。

私が普段やっている確認は地味だ。品種名の綴りを規格書で確認する。長毛が別部門かどうかを確認する。採択の年号を確認する。それだけ。尾の形を見て「どちらか」と当てにいくより、名簿の一行を読むほうが、よほど確かだ。

短尾という一つの見た目の特徴が、名簿の上では二つの別の物語になる。片方は「日本の土地の猫」として始まり、もう片方は「クリル諸島から始まった繁殖プログラム」として始まる。私は今でもショーで短尾を見ると、尾より先に、あのエントリー一覧の品種名を思い出す。

猫の爪痕

執筆者について

猫の爪痕

猫と暮らす年月が長くなり、爪とぎの跡や換毛期の抜け毛が部屋の景色に溶け込んでしまった人たちです。多頭飼い、引っ越し、シニア猫との暮らしをそれぞれに経験しながら、猫種ごとの性格や手入れの重さを日々の暮らしの中で見てきました。

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