猫の爪切りは、2〜4週間おきに、1回あたり数本だけ切れば足りる。全部を一度に終わらせる必要はなく、残りは翌日以降に回してかまわない。1回の作業を短く切って何日かに分けるほうが、猫が本気で嫌がり始める前におしまいにできる。間隔の2〜4週間は、爪とぎの頻度と部屋の床材で前後に動く。前足の爪が畳や床に当たって音を立て始めたら、その前後が切る時期だ。

夜、猫が歩くたびに畳からカリ、カリと音が聞こえたら、私はその日のうちに爪切りを引き出しから出す。聞き逃した日も、翌朝に膝へ乗せて前足を見ればわかる。先端が角ばっていて透明な部分が短ければ切ったばかり、丸く尖って白く伸びていれば切る時期だ。
一度に全部やらない、と決めてから
以前は、爪切りは「今日やる用事」だった。18本すべてを一度に片づけようとして、後半で猫が体をねじり、私も焦って刃を深く入れそうになり、終わるころには互いに疲れていた。次の爪切りの日が近づくたびに、私のほうが気が重くなっていた。
変わったのは、1回に数本でいいと決めてからだ。今日は右前足だけ。残りは明日、明後日。それだけで1回の長さが2分ほどになり、猫が姿勢を崩す前に終わる。
床に座って、猫を膝の内側に横向きに寝かせる。正面から抱え込むと前足が体の下に隠れてしまうが、横向きなら上の前足がちょうど手の届く位置に出る。肉球を親指でそっと押し上げると、爪がにゅっと出る。押しっぱなしにはしない。見えて、切って、すぐ離す。握られている時間を短くすることだけを意識する。
切るのは、透明な部分の先のほうだけ。根元に近いところにピンク色の芯が見えるが、そこには血管と神経が通っていて、刃が届けば痛む。私はその芯に近づく手前で止める。芯から少し残すくらいでも、爪先は十分に短くなる。
前足と後ろ足で、切る回数が違う
爪とぎで削れるのは、ほとんど前足の爪だ。後ろ足の爪は爪とぎをしてもほとんど当たらない。だから前足は2〜4週間おきに切るとして、後ろ足は2回に1回で足りる。うちの猫は爪とぎが好きなので、前足の外側の爪はほぼ削れていて、内側の爪だけが伸びていることが多い。削れ方に偏りがあるのは普通のことだと思っている。
見落としやすいのは、前足の内側、人間でいう親指の位置にある狼爪だ。短く、毛に埋もれていて、爪とぎではまず削られない。爪は左右の前足に5本ずつ、後ろ足に4本ずつ、狼爪を入れて18本。数えていくと、いつもここだけ伸びている。
数本でやめる、が成立する理由
猫が「もう嫌だ」と出す合図は、たいてい決まった順番で来る。尻尾の先が動き出す。耳が後ろに倒れる。前足を引っ込める。うちの猫なら、だいたい5本目から6本目のあたりがそれにあたる。
そこで終わる。まだ3本残っていても終わる。残った3本は明日でいい。この切り上げ方ができるようになってから、翌日も猫は同じ姿勢で膝に乗ってくれるようになった。全部を切ろうとして暴れられた日は、翌日は膝に乗ってくれなかった。どちらが結果的に早く終わるかを、経験のほうが先に教えてくれた。
どこまで切ったかは、記録していない。爪の先を見ればわかるからだ。先端が角ばって透明な部分が短い爪は最近切ったもの、丸く尖って白く伸びている爪はまだ切っていないもの。左右で見比べれば、今日どちらをやればいいかはすぐ決まる。
それでも数本が長い猫には
膝の上で数分じっとしているのが前提、という書き方をしたが、抱っこ自体が落ち着かない猫にはこの前提が成り立たない。その場合は、1本で終わりにする。2日に1本ずつでも、間隔が保てていれば爪は伸びすぎない。数が少ないほど1回は短くなり、短いほど次の機会のハードルも下がる。回数を増やして1回を削る、という方向はどの猫にも同じように効く。
爪が伸びすぎると、歩くたびに音が鳴る。カーペットやソファに刺さって抜けにくくなる。切る理由はそこにあるのだから、切る日を一度にまとめる理由はどこにもない。2〜4週間おき、1回に数本。これが守れていれば、爪切りは生活の中の小さな用事のままでいられる。