抜け毛が減らないのは、ブラッシングの場所が原因かもしれない

目次
  1. ソファの上で20分やっていた頃
  2. 出た毛は、消えていない
  3. 場所を先に決める
  4. そのあとの数分で戻ってくる
  5. 撫で方 — 強さの話であって、回数の話ではない
  6. 毛質で変える、部屋ごとに変える
  7. 嫌がる猫は、長さではなく合図で決める
  8. それでも減らない日はある

抜け毛が減らないのは、ブラッシングの回数や時間のせいではない。どこでやって、出た毛をそのあと数分のうちにどう始末したかで、部屋に残る毛の量はほとんど決まってしまう。だから先に変えるべきは道具ではなく、家の中の順路と、一回あたりの手の動かし方になる。

抜け毛が減らないのは、ブラッシングの場所が原因かもしれない

ソファの上で20分やっていた頃

私が最初にやっていたのは、リビングのソファに猫を乗せて、テレビの前でブラシをかけるやり方だった。猫は膝の上で丸くなり、毛は照明の光のなかでふわっと浮いて、ゆっくり落ちてくる。手応えもある。これだけ取れているのだから、部屋はきれいになっているはずだと思っていた。

翌朝、ソファの肘掛けにうっすら毛が積もっている。カーテンの裾にも、敷き布団の端にも。そこで「もっと回数を増やさないと」と考えた。間違っていたのはその判断のほうで、私はしばらく気づかなかった。

気づいたのは、洗面所でやるように変えた初日のことだ。同じ猫、同じ時間、同じブラシ。それなのに、リビングでやっていたときより明らかに、翌朝の床が静かだった。変わったのは場所と後始末だけで、かけた時間はむしろ短くなっている。

出た毛は、消えていない

ブラッシングで取れた毛は、体から離れただけで、その部屋のどこかへ移動しただけだ。軽い毛は空気に乗る。ソファの奥、カーテンの繊維、布団の間、押し入れの隙間。細かいフケも、その瞬間にいちばん舞う。だから「今日はこれだけ取れた」という手応えと、部屋に残る毛の量は連動しない。むしろ手応えがある日ほど、その場にまいた量も多い。

この順番で考えると、回数を増やす方向には自然と進めなくなる。増やすほど、まく回数も増えるからだ。

場所を先に決める

うちで一番効いたのは、洗面所と脱衣所でやることに固定したことだった。床がタイルで、濡れても拭ける。洗えるシートを一枚敷いて、その上で膝に乗せる。猫がその気でない日は、洗面所のドアを開けたままにして、逃げられる余地を残しておく。狭い場所を嫌う猫はいるので、閉め切らないほうが続く。

ベランダも同じ理屈で、外に流れてくれる。ただし風の強い日は逆効果で、抜けた毛が室内側に戻ってくる。うちでは風がある日は洗面所、ない日はベランダ、と天気で切り替えている。

逆に、カーペットの上、布団の上、ソファの上は、どんなに丁寧にやっても「そのあと掃除機をかける前提」の場所になる。それなら最初から洗える場所で終わらせたほうがいい。これは道具を替える話ではなく、家の中の順路をひとつ変える話だ。猫を抱えて歩く距離が短くなるほど、途中で抜ける毛も減る。

そのあとの数分で戻ってくる

取れた毛をふたのないゴミ箱にぽいと入れると、それは戻ってくる。空気が動くたびに、少しずつ。うちでは、取れた毛はその場でまとめて小さい袋に入れ、口を結んでから捨てる。シートは丸めて、そのまま洗濯機へ。洗面台の排水口には流さない。濡れた毛は詰まるし、乾けばまた飛ぶ。

ここまでがひと続きの作業で、ブラッシングはその真ん中にすぎない。毛を浮かせる、受け止める、閉じ込める、洗う。この4つが揃って初めて部屋の毛が減る。最初の1つだけを何度も繰り返しても、残り3つが抜けていたら意味は薄い。

撫で方 — 強さの話であって、回数の話ではない

ゴシゴシやるほど取れる気がするが、実際は逆に近い。皮膚が引っ張られると刺激になって、皮脂やフケが出やすくなる。毛が絡みやすくなり、次に取れる量が増える。増えた分はまた部屋にまかれる。悪循環だ。

だから一回一回は軽く、毛の流れに沿って、ブラシの重さだけで滑らせる程度にしている。同じ場所を何度も往復しない。取れているかどうかは、ブラシを見るより、猫の耳や肩の力が抜けているかで判断する。肩に力が入ったら、その日はそこで終わりにする。

毛質で変える、部屋ごとに変える

同じ「短時間で軽く」でも、どこを優先するかは毛質で変わる。

短毛で毛が密なタイプは、表面の毛より換毛期の下毛が問題になる。範囲を狭く切って、1日に一部分だけ。背中としっぽの付け根を別の日に分けるくらいでちょうどいい。全身を一度にやろうとすると、後半は猫も私も雑になる。

長毛は、絡まる前に分けるのが先になる。毛を手で分けて、根元から先へ流すように。時間がかかるので、胸、脇、おなか、と部位で日を分ける。全部やろうとすると、嫌がられて途中で終わり、次の日から逃げられる。

上毛と下毛の二層になっている猫は、抜けるタイミングが層で違う。春と秋に集中する。この時期は回数を増やすより、洗える場所と袋と洗濯を先に整えたほうが効く。一日中かけても、部屋の毛は思ったほど減らない。

嫌がる猫は、長さではなく合図で決める

嫌がる猫には、短いのを毎日、同じ合図で。これが結局いちばん続く。洗面所のシートを敷く音、同じ順番、同じ言葉。うちの猫はシートの音で洗面所まで来るようになった。来たら始めて、嫌がる前に終わる。

長く丁寧にやろうとして中断し、しばらくやらない期間ができる。これが一番抜け毛を増やす。ブラッシングのあとに遊びを続けてしまうと、遊びの時間まで含めて「捕まる時間」になるので、終わったらすぐ別のことをしている。合図は始まりだけに使って、終わりはあっさり、が私のやり方だ。

それでも減らない日はある

換毛期、年齢、季節の湿度。毎日きれいに減るわけではない。だから「減らない=やり方の失敗」と決めつける必要もない。ただ、場所と後始末を変えると、同じ回数でも部屋に残る毛は確実に減る。私の場合、ソファの肘掛けに積もる量が半分になった。回数を増やす前に、順路を一度変えてみる。それだけで足りることが多い。

猫の爪痕

執筆者について

猫の爪痕

猫と暮らす年月が長くなり、爪とぎの跡や換毛期の抜け毛が部屋の景色に溶け込んでしまった人たちです。多頭飼い、引っ越し、シニア猫との暮らしをそれぞれに経験しながら、猫種ごとの性格や手入れの重さを日々の暮らしの中で見てきました。

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